イタリアでの最初の料理修行はリストランテでした。トスカーナ、ロンバルディア、ナポリ、ソレント、サンタガタと7年半に渡って移り住みながら、ミシュランガイド掲載店で修業した。きれいなお皿に盛って高級なワインと何時間もかけて食べるコース料理..というような料理を作ってました。でも、実際に行くのはトラットリアやピッツェリアでした。ナポリで食べたピッツァは本当に美味しかったし、ピザ職人はカッコ良かった。ロンドンでの4年間のリストランテでのシェフを経て、もう一度イタリアへ渡った時は、迷うことなくもうピッツェリアでした。
イタリアの塩と粉、イースト菌と水。配合は塩分濃度のほかは決まっていない。なぜなら気温や湿度によって発酵度合いが違うから。炎の様子や火を背にした自身の背中の温かさの感覚で、だいたい何度か分かる。生地の水分が程よく蒸発するまで焼けば完成だ。ピザは生地をつかんで持ち上げると非常に軽く、表面はぐつぐつ熱々で、チーズがとろり。あとはロジックなんてない。焼いた本人が「これ、食べたい」と思うPIZZAを焼くこと、これがウチのピッツァ。
店の入り口に、PIZZAの絵がかかってます。これは、現地イタリアのピザ団体「Unione Pizzaiuoli Tradizionali e Ristoratori(UPTER)」の看板です。イタリアへ渡り、PIZZAを食べ、PIZZAに魅せられ、Pizzeriaで修行し、初めて出場したイタリア大会は16位。翌年日本人初の総合優勝。そして現在は、現地イタリアのピザ団体『UPTER』 (アプティエール)の日本支部理事長を任されている。ジャンカルロのPIZZAにはその誇りとプライドがあります。軽やかなピッツァのその1枚は、丁寧さと、研ぎすまされた繊細な感覚から作られています。